「~始める」と「~出す」の違い
【difference】

「V+出す」と「V+始める」の意味

「V+出す」と「V+始める」はどちらも、何らかの動作や現象が始まったと言いたい時に使う事ができます。以下の2文はどちらも文法的に成立した文です。

Both "V+dasu" and "V+hahjimeru" can be used to say that some action or phenomenon has begun. The following two sentences are both grammatically correct.

あめした
It started to rain.

あめはじめた
It started to rain.

「V+出す」が使えない場合

話し手自身が、意志を持って何かを始める(始めよう)と言いたい場合には「V+出す」が使われることはほとんどありません。また、聞き手に何かを始めるよう依頼する場合にも「V+出す」はほとんど使われません。

When the speaker wants to say that he or she starts some action with the intention of doing so, "V+dasu" is rarely used. Also, "V+dasu" is not often used when asking the listener to start something.

意志未来

になったら、勉強べんきょう出します。△?
(8時になったら勉強し始めます
At eight o'clock, I will start studying.

~(よ)う、~ましょう

かれおくれるのなら、さき出しましょう。△?
(先に食べ始めましょう
If he will be late, then let's start eating first.

~てください

おくれそうなので、さき出しといてください。△?
(食べ始めといてください。)
I'm going to be late, so please start eating first.

その他の違い

また、以下のような点では「V+」の方が「V+始める」より使われるという傾向が指摘されることがありますが、「V+始める」を使ったとしても間違いではありません。

In addition, it is often pointed out that "V+dasu" tends to be used more than "V+hajimeru" in the following cases, but even if "V+hajimeru" is used, it is not incorrect.

1.突然性(unpredictability)

「V+出す」は話し手が予測していなかったことが始まった場合に使われる傾向がありますが、以下の例のように、どちらも使うことができます。

Although "V+dasu" tends to be used when something the speaker did not expect has begun, both can be used, as in the following example.

天気予報てんきよほうとお夕方ゆうがたからあめ出した
(雨が降り始めた。)
As predicted, rain began to fall in the evening.

夕方ゆうがたから突然とつぜんあめ始めた
(突然雨が降り出した。)
In the evening, it suddenly began to rain.

2.感情の表出

笑う、怒る、泣くなどの感情の表出を表す語と一緒には「V+出す」が使われやすい。(「V+始める」でも間違いではない。)

”V+dasu" is more likely to be used with words expressing expressions of emotion such as laughing, getting angry, crying, etc. However, "V+hajimeru" is also not wrong.

かれ彼女かのじょはなしいてわら出した
(笑い始めた
He started laughing when he heard her story.

不安ふあんになった彼女かのじょ泣き出ししまった。
(泣き始めてしまった)
She became anxious and began to cry.

関連文法 related grammar


<参考文献>
姫野雅子『複合動詞の構造と意味用法』
池谷知子(2017)『開始を表す複合動詞「~出す」「~始める」の違い ーコーパスを利用した使用実態からー』
陳劼懌(2012)『語彙的複合動詞と統語的複合動詞の連続性について ―「~出す」を対象として― 』
田中衞子『類義複合動詞の用法一考――日本語教育の視点から―』

まさおき
この文法について質問がある方は下記のコメント欄に書いてください。
If you have any questions about this grammar, please comment below.

-文法/用法まとめ

© 2021 Hedgehog Japanese