文法-意味 grammar meaning
V(辞書形/ない形)+まい
※GroupⅠの動詞は辞書形接続のみ
【例文】
①二度と彼女を傷つけまいと自分に誓った。
I promised myself I would never hurt her again.
②あんな占い師の言うことなど当たるまい。
What that fortune teller says would not come true.
【意味】
①~ない(否定意志)
②~ないだろう(否定推量)
【用法】
①「V+まい」は、「V という行為をしない」という決意を話し手が述べたいときに使われます。
②「V+まい」は、「V ないだろう」と同じ意味で、「V」という行為や現象が起こらないだろうという話し手の推量を述べたいときに使われます。
【英語】
①”V+mai" is used when the speaker wants to state his or her intention to not to do the action of V.
②”V+mai" has the same meaning as "V+naidarou" and is used when the speaker wants to state an negative conjecture that the action or phenomenon "V" will not occur.
【文法解説】Grammar point 1:
「まい」という助動詞は、明治大正期頃を境に口語から急速に使われなくなっており、現代では口語としてはほとんど使われません。書き言葉としては使われることもあるが、「まい」と同じ意味を表す別の表現に置き換わりつつあり、使われることが少なくなってきています。
現代では、否定意志の用法は、「~ない/ません」、否定推量の用法は「~ないだろう/ないでしょう」の形の方がよく使われます。
1. 今後一切お酒は飲むまい。
(=飲まない/飲みません)
I will never drink alcohol again.
2. そんな幸運なことは起こるまい。
(=起こらないだろう/起こらないでしょう)
Such a fortunate thing would not happen.
「まい」の否定意志の用法において、現代でも比較的使われる使い方としてあ、例文3,4にあるような、心の中で思っていることを述べる使い方です。
3. 二度と嘘はつくまいと心に誓った。
I promised myself never to lie again.
4. 娘に寂しい思いをさせまいと、母子家庭ながら子供との時間を作ってきた。
I thought I would never let my daughter feel lonely, so I made time for my children, even though I was a mother and a child.
接続 formation
Group 1:
V (辞書形) + まい
(行くまい、話すまい)
Group 2:
V (ない形) + まい
(食べまい、見まい)
V (辞書形) + まい
(食べるまい、見るまい)
Group 3:
V (ない形) + まい
(しまい、来まい)
V (辞書形) + まい
(するまい、来るまい)
※(すまい、来まい)が使われる場合もある。
※「まい」の元々標準とされていた接続する形は以下の通りです。
・GroupⅠ → 辞書形
・GroupⅡ/Ⅲ → ない形(のないをとった形)
ただし、現在ではGroupⅡ/Ⅲの動詞が辞書形に接続する形も許容される使い方とされています。さらに詳しく知りたい方はページ下部の備考および、そのリンク先を参照してください。
関連文法 related grammar
例文 example sentences
用法①:否定意志
・二度と彼にお金を貸すまい。
I will never lend him money again.
・あなんなやつには絶対に頼るまい。
I would never rely on such a guy.
・その時は、あんな奴など絶対に許すまいと思っていた。
At the time, I thought I would never forgive such a man.
・同じ失敗を二度とするまいと心に深く誓った。
I vowed deeply in my heart never to make the same mistake again.
・息子にはお金での苦労をさせまいと必死に働いてお金を貯めてきた。
I have worked hard and saved money so that my son would never have to struggle with money.
用法②:否定推量
・彼が私達を裏切ることはあるまい。
He would not betray us.
・どんなに説得したところで、彼は私の言うことなど聞くまい。
No matter how much I try to convince him, he would never listen to me.
・いくら彼でもそんなひどいことはするまい。
No matter how cruel he is, he wouldn't do such a terrible thing.
・こんな小さな間違い誰も気づきはすまい。
No one would notice such a small mistake.
・二人の良好な関係がこのまま続きはすまい。
Their good relationship would not continue as it is.
備考 notes
「まい」の動詞接続について
2018年にNHKが1200人を対象に行った言語のゆれ調査によると、「見る」「来る」「する」においては、その動詞の辞書形に接続する形を使う人がない形に接続する形を使う人の方が多くいました。しかし「考える」については、「考えまい」とそのない形に接続する形を使う人の方が多くいました。
GroupⅡ,Ⅲの動詞について、元々標準であった辞書形ではなく、ない形に接続する形を使う人が現代では増えています。どちらを使うかは『ことばのゆれ』の範囲の問題であり、ない形に接続する形も現代では許容される間違った言い方ではないでしょう。
<参照>
2018年「日本語のゆれに関する調査」から(NKH放送文化研究所)
※PDF資料の項目5に「まい」に関する調査の結果が載っています。
参考文献 reference
NKH放送文化研究所(2018)『「日本語のゆれに関する調査」から』
山口堯二(2001)「まい」の通時的変化
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