尊敬語とは respectful language
尊敬語とは、敬語の分類の一つです。聞き手側、または第三者の行為・ものごと・状態などについてその人物を立てて(言葉の上でその人物を高く位置付けて)何かを述べるときに使われます。逆に、話し手側にある行為やものごとなどについては謙譲語が使われます。
特定形と一般形
尊敬語には特定形(特別な形を用いるもの)と、一般形があります。一般形には主に「お/ご~になる」、「~(ら)れる」、「~なさる」といった形があります。
一般形の場合は元の動詞から規則的に尊敬語を作ることができますが、特定形は「言う→おっしゃる」「食べる→召し上がる」のように、不規則に形が変わるので、一つ一つ覚える必要があります。
特定形:(特定形の一覧)
言う→おっしゃる、食べる・飲む→召し上がる、
一般形①:お~になる/ご~になる
例:誘う→お誘いになる、呼ぶ→お呼びになる
例:招待する→ご招待になる、連絡する→ご連絡になる
一般形②:~(ら)れる
例:歩く→歩かれる、買う→買われる
例:集める→集められる、育てる→育てられる
一般形③:~なさる
例:利用する→利用なさる、運動する→運動なさる
※「する動詞」に限られる
※一般形とされる形には上記のもの以外もあります。
尊敬語の使い方
尊敬語は、聞き手、または第三者の行為やものごとに使われます。自分側の行為には(例文2)は謙譲語が使われます。
1. 先生は何時ごろにいらっしゃいますか?〇
Sensei, what time will you be here?
2. 私は3時ごろにいらっしゃいます。✖
(3時ごろに伺います。)〇
I will visit you around 3:00.
立てる相手は聞き手に限らず、例文3のように、第三者の場合であっても必要であれば使われます。
3. 社長が明日の2時にこちらの会場までお越しになるそうだから、それまでに準備を終わらせましょう。
The CEO will be coming to this venue at 2:00 tomorrow, so let's finish preparations by then.
特定形一覧
*1:「お召し上がりになる」「お見えになる」は、いわゆる二重敬語ではあるが、習慣として定着している語である。
*2:「ご存じ」は動詞ではなく名詞のように、「ご存じではない」「ご存じだった」と変化する。
*3:特定形は他にも現代ではあまり使われない、「おおせになる(=言う)」「あそばす(=する)」「思し召す(=思う)」「おおせつける(=命じる)などもあります。
ものごとや状態の尊敬語
■ 形容詞や名詞
「お忙しい、お美しい」など、形容詞に「お」を付けた形や、「お仕事、ご住所」などのように名詞に「お/ご」をつけた形なども、相手側のものごとや状態を立てて述べているため、尊敬語に分類されることがあります。
またイ形容詞の場合は「~くていらっしゃる」、ナ形容詞・名詞の場合は「~でいらっしゃる」の形で尊敬語を作ることができます。
・先生はいつもお忙しくていらっしゃいますので、たまにはお休みを取られてはいかがですか?
Sensei, You are always busy, so why don't you take a break once in a while?
・先生は病状も回復し、今はとても元気でいらっしゃいます。
Our teacher has recovered from his illness and is now doing very well.
・先生は広島出身でいらっしゃいます。
The teacher is from Hiroshima.
関連文法 related grammar
<参考文献>
・敬語の指針(文化審議会答申)
・現代社会における敬意表現(国語審議会答申)
If you have any questions about this grammar, please comment below.