～と / たら（用法③：発見）【文法-N3 Grammar】

5月 14, 2024

文法-意味 grammar meaning

～と / ～たら（用法③：発見）

【例文】

テレビをつけると、サッカーの試合しあいをやっていた。
I turned on the TV and found a soccer game on.

家いえに帰かえったら、誰だれもいなかった。
I got home and found there was no one there.

【意味・用法】
「A と/たら B」は、「A」という行為の結果、「B」ということを発見したり、気づいたりしたと言いたい場合に使われます。

【英語】
”A to/tara B" is used when you want to say that you have discovered or noticed "B" as a result of an action "A". "to" is used primarily in written language, while "tara" is used primarily in conversation.

【別の用法】
・と（仮定/恒常条件）　
・たら（①仮定条件・②継起/きっかけ）

【文法解説】Grammar point

■ 発見の用法とは？

「と、たら」には、仮定条件（まだ起きていないことを仮定する）の用法以外に、既に起こったことについて述べる継起・きっかけの用法や発見の用法と呼ばれる用法などもあります。

発見の用法は、何らかの状態を発見したり、認識したりした状況を述べることができます。具体的には「A と/たら B」の「B」に、発見したり、認識した状態を述べ、「A」にその発見するに至った行為を述べて使います。

条件表現としてよく比較される「ば」や「なら」には発見の用法がなく、基本的^*1には使われません。

1. 今朝けさ、会社かいしゃに来きたら、机つくえの上うえに手紙てがみが置おいてあった。〇
（会社に来ると～）〇
（会社に来れば～/会社に来るなら～）✖
When I came to the office this morning, I found a letter on my desk.

2. 外そとを見みると、たくさんの子供こどもが校庭こうていで遊あそんでいた。〇
（外を見たら～）〇
（外を見れば～/外を見るなら～）✖　
I looked outside and saw a lot of children playing in the schoolyard.

■「と」と「たら」の違いは？

この発見の用法では、ほぼ同じ意味で使われます。ただし、「と」は物語などで使われる書き言葉的な表現で、日常の会話では「たら」が主に使われます。

■ よくある間違い

「と」「たら」は、何かを新たに発見したり、気づいたことを言いたい時に使われますが、「A と/たら B」の「B」には「発見した」「気づいた」といった「A」の動作主の動作を述べるのではなく、発見したり気づいたしたその状態を述べます。^*2

5. ~~私わたしがその箱はこを開あけると、宝石ほうせきを発見はっけんした~~。✖
（私がその箱を開けると、中に宝石が入っていた。〇）
I opened that box and found a jewel inside.

6. ~~玄関げんかんのドアをを開あけたら、外そとに知しらない人ひとが立たっているのに気付きづいた~~。✖
（玄関のドアを開けたら、外に知らない人が立っていた。）〇
I opened the front door and found a stranger standing outside.

接続 formation

V（辞書形）＋と

V（た） + ら

例文 example sentences

・夜空よぞらを見上みあげると、満天まんてんの星ほしだった。
I looked up at the night sky and saw that it was full of stars.

・私達わたしたちが山頂さんちょうに着つくと、すばらしい景色けしきが広ひろがっていた。
When we reached the summit, we were greeted with an amazing view.

・ドアを開あけると、部屋へやの中なかは散ちらかっていた。
I opened the door and found the room a mess.

・目めが覚さめると、そこには見みたこともない女性じょせいが立たっていた。
When I woke up, I found a woman I had never seen before standing there.

・私わたしが学校がっこうから帰かえってくると、母ははは既すでにでかけていた。
I got home from school and found that my mother had already gone out.

・荷物にもつを開あけたら、それは私わたしへの誕生日たんじょうびプレゼントだった。
I opened the package and found it was a birthday present for me.

・久ひさしぶりに故郷こきょうに帰かえったら、地元じもとの街まちはすっかり変かわっていた。
When I returned to my hometown after a long absence, I found that the hometown had completely changed.

・冷蔵庫れいぞうこを開あけたら、中なかに何なにも入はいっていなかった。
I opened the refrigerator and found nothing inside.

・あそこの店みせでお菓子かしを買かったら、賞味期限しょうみきげん切ぎれだった。
I bought some snacks at that store and found that they were expired.

・新あたらしいPCを電気屋でんきやさんで買かったら、３０％引びきだった。
I bought a brand new PC at an electronics store and found it was discounted by 30%.

備考 notes

*1：「ば」の事実的用法

「ば」も発見時の状況を述べるために使われることもあります。

・実際じっさいに会あってみれば、彼かれはそんな嫌いやな奴やつではなかった。
When I actually met him, he was not such a jerk.

*2：「例外」

通常「と、たら」の発見の用法は、「B」に状態性のことを述べ、動作主の動作を述べません。ただし「と」は物語調の表現においては、動作主の連続した動作を述べる継起の表現もあるため、以下のような形で使われることもあります。

・彼かれはドアを開あけると、部屋へやの中なかに誰だれもいないことに気きづいた。〇
He opened the door and found the room empty.

・~~彼かれはドアを開あけたら、部屋へやの中なかに誰だれもいないことに気きづいた~~。？
He opened the door and found the room empty.

まさおき

この文法について質問がある方は下のコメント欄に書いてください。
If you have any questions about this grammar, please comment below.

-N3 文法一覧
-事実的条件文, 接続助詞, 条件文, 発見

チャイナより:
12月 23, 2022 3:59 am
誤解されないように妻に事情を説明したら /すると、かえって怒らせてしまった。
この文は前後の動作主とも「わたし」ですが、非文なのでしょうか。もし成立の文だったら、物語調の表現と片付けていいでしょうか。ご指導よろしくお願いします。
返信
- まさおきより:
  12月 24, 2022 8:39 am
  ご質問ありがとうございます！
  このページで説明している「発見」の用法は、「A と/たら B」の形で「A=既に起こったこと、B＝Aの行為の有無にかかわらずに成立している事象（状態）」になります。つまり以下の①②のような文です。
  ①夜空を見上げると/たら、満天の星だった。
  ②箱を開けると/たら、宝石が入っていた。
  夜空を見上げていようがいまいが、満天の星はそこにあるし、箱を開けようが開けまいが宝石はそこに入っています。このような「発見」の用法においては、物語調の文を除いて、「B」に「A」と同じ動作主の動作は来ないというのはある程度成立すると思われます。
  ただし、「と/たら」の事実的（仮定的ではない）用法の分類の仕方は色々な論があるようですが、「発見」の用法以外に、「B」が「A」の後に起きたという時間関係を表す用法（継起の用法）もあります。この用法における制限も、主語が意志を持ってコントロールできる連続した動作には使われにくいという制限です。
  ③遅刻すると/したら怒られた。
  ④一口食べると/たら吐きだしてしまった。
  質問にある例文も③④の例と同じように、「A」と「B」の主語は同じですが、「B（＝怒らせる）」は、話し手の意志的な動作ではないので成立した文だと考えられます。
  参考になれば幸いです！
ベトナムからより:
11月 11, 2022 1:51 pm
「と、たら」の発見の用法で、通常は後件には前件と同じ動作主の動作を述べることはないが、例外的に「と」は物語調の表現においては動作主の動作を述べることもあります。
すみませんが、まだわからないんですが。。。もう一度、説明していただけませんか。
返信
- まさおきより:
  11月 25, 2022 8:09 am
  こんにちは、ご質問ありがとうございます。説明がわかりにくくてすいません。
  このページで説明している発見の用法は「A と/たら B」の形で使われます。通常、この「B」の部分の主語には、「A」と同じ主語を使いません。
  ①（私が）その箱を開けると、（私は）中に宝石が入っているのを発見した。✖
  ②（私が）夜空を見上げたら、（私は）たくさんの星が輝いていることに気づいた。✖
  上記①②の「B」の部分の述語動詞（発見した、気づいた）の主語は「私」で、これは「A」の部分の主語と同じなので、①②のような言い方はあまりしません。
  発見の用法とは言っていますが、「B」の部分の述語動詞に「発見した、見つけた、気づいた」などの言葉は使わず、通常はその結果発見した事実（状態）を以下のような形で述べます。
  ③（私が）その箱を開けると、中に宝石が入っていた。〇
  ④（私が）夜空を見上げるたら、たくさんの星が輝いていた。〇
  ③④の場合、「B」の部分の述語動詞の「入っている」の主語は「宝石」、「輝いていた」の主語は「星」で、「A」の「私」とは違います。
  以上が基本のルールなのですが、「と」の場合は小説などで書き手が客観的に観察者の視点で述べる場合には⑤のような使われ方もします。ただしこのような使い方は、会話ではほとんどしません。
  ⑤彼はドアを開けると、（彼は）部屋の中に誰もいないことに気づいた。
岡田より:
9月 9, 2022 8:26 am
『と』の例文は『たら』に置き換えられますが、
『たら』の例文を『と』に言い換えてみると、変な気がします。
例えば、『新しいPCを電気屋さんで買うと、３０％引きだった。』は、『たら』の方がいいと思います。
『と』は小説などでよく出てくる書き言葉的な表現ではありますが、
それ以外に、どんなときに『と』を使い、どんなときに『たら』を使うのでしょうか。
返信
- まさおきより:
  9月 11, 2022 8:52 am
  岡田さん、ご質問ありがとうございます。
  このページで説明している、いわゆる「発見の用法」と呼ばれている「と」「たら」については基本的に互いに言い換え可能です。学習者向けの教科書でも言い換え可能としているものがほとんどだと思います。もちろん、ご指摘にもある通り「と」は書き言葉”的”な表現で、「たら」はそうではないという違いはあります。
  また、それ以外の違いとしては、「と」が観察者の視点から客観的に事実だけに焦点を向ける言い方なのに対して、「たら」は話し手の「驚き、意外だ」といったその事実に対する態度が現れる言い方だと指摘されることもあります。できるだけ話し手のそういった態度を排除しようとした文、例えば以下の①のような算数の問題に使われる文では「と」のほうがよく使われるのではないでしょうか？
  ①A君がお店でりんごを買うと30％引きでした。A君は全部で300円払いました。リンゴの元々の値段はいくらでしょう？（※「たら」でも可）
  ご指摘の例文に関してですが、「と」を使った場合でも非文ではないと思います。私個人の意見としましては、②の文は冷静に事実だけを伝えようとしているのに対し③の文は話し手の「意外だ」という態度が含まれているように感じます。
  ②新しいＰＣを電気屋さんで買うと、30％引きだった。」
  ③新しいＰＣを電気屋さんで買ったら、30％引きだった。」
  また別の研究によれば、「と」「たら」の前後どちらに焦点が当たるかが違うとされることもあります。以下の例文で、④「と」はその後ろの内容に、⑤「たら」はその前に焦点があたります。言い方をかえれば、「雪国であった」ことに聞き手（読み手）の意識をより持っていきたいのか、「トンネルを抜けた」ことに意識をよりもっていきたいかの違いです。
  ④国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。
  ⑤国境の長いトンネルを抜けたら雪国であった。
  ただ、残念ながら以上のような点から全ての違いを説明できるかというとそういうわけでもないように思います。「と」「たら」「なら」「ば」といった条件文を作ることのできる接続助詞については、日本人の間でもその使い方に関しても異同があるとされていますので、色々な捉え方をする方がいるかもしれません。