文法-意味 grammar meaning
~んです
【例文】
A:どうしたの?腕から血が出てるじゃない。
What's happened to you? Your arm is bleeding.
B:さっき、そこで転んだんです。
I fell down there a short while ago.
【意味・用法】
何らかの事情(理由)の説明として「~」の内容を聞き手に伝えたいときに使われます。
【英語】
"~ndesu" is used when you want to tell the listener the contents of the "~" as an explanation (reason) of some circumstance.
【文法解説】Grammar point
■使い方
「~んです」は、何らかの事情の説明として「~」の内容を相手に言うときに使われます。
「なんで~」など[注1]の質問の形で直接的に事情の説明を求められたとき(例文1)にも使われますし、そうでなくても、相手に事情の説明として何かを言うとき(例文2,3)であれば使われます。
さらに、相手が発言していなくても、自分の直前の発言に対して事情の説明を加える場合(例文4,5)や、現在目の前に起きている状況に対しての説明を加える場合(例文6)など、様々な場面で使われます。
1. (なんで英語が喋れるのか聞かれて)
ー 子供のとき、アメリカに住んでいたんです。
When I was a kid, I lived in the United States.
2. なんか体調が悪そうだね。
You look like you're in some kind of bad shape.
ー 実は昨日から風邪を引いているんです。
Actually, I've had a cold since yesterday. I'll have a beer.
3. あれっ、お酒飲まないんだね。
Oh, you don't drink alcohol.
ー 実は医者から止められてるんです。
Actually, my doctor has stopped me from drinking.
直前に述べていることへ事情の説明を加える
4. 先生、早退してもいいですか? 体調があまりよくないんです。
Sensei, can I leave early? I'm not feeling very well.
5. すいません、ちょっとお金を貸してくれませんか? 財布持ってくるの忘れちゃったんです。
Sorry, can I borrow some money? I forgot to bring my wallet.
目の前にある状況へ事情を説明を加える
6. (宿題が全部終わってないのを先生に見つかったとき)
すいません、時間がなかったんです。
Sorry, I didn't have time.
■「ます/です」と「んです」の違い
何等かの事情を説明をする場合でも「んです」を使わず「です/ます」で言うこともできます。
ただし、両者の間にはニュアンスの違いがあり、「んです」が相手に伝えようとしている感じのする言い方である一方、「です/ます」の方は、ただ単に事情を淡々と述べているだけという感じがする言い方です。
したがって、相手に伝えようという態度で事情の説明をするときには「んです」の方がよく使われ、事情の説明でも客観的に淡々と事実だけを述べたいときなどには「です/ます」が使われます。
7. なんで、明日のパーティー参加しないの?
Why are you not attending tomorrow's party?
- 明日はちょっと用事があります。〇
- 明日はちょっと用事があるんです。〇
I have something to do tomorrow.
※どちらも正しい文ですが、「ます」の方は少し淡々とした感じがします。
■「んです」が使えない場合
「んです」は強調のため[注2]に使われると説明されることもあります。しかし、基本的には話し手が事情の説明をしたいという場面でないときに使うと不自然な文になることが多いです。例えば、何かの感想を述べるとき(例文8)に強くそう思ったからといって「んです」を使うことはできません。
また、事情の説明(なんらかの理由)ではなく、自己紹介や物の性質などを説明をするときには基本的には使われません。
8. どう、私が作った料理?おいしい?
How's the food I made? Is it good?
- はい、とってもおいしい(んです)です。
Yes, it's very tasty!
9. 初めまして、山田です。大阪出身(なんです)です。
Nice to meet you, I am Yamada. I am from Osaka.
10. 今日、この後何するつもり?
What are you going to do later today?
ー 家に帰って宿題を(するんです)します。
I am going home and do my homework.
■関連文型
否定文や疑問文の中で使われる「んです」や、「んだ」の形で使われる場合には、「事情の説明として聞き手に何かを言う場合に使う」という意外の用法もあります。それについては各ページを参照してください。
- のです ー 書き言葉で主に使われます。
- んだ(のだ)ー 事情の説明に使われるほか、「納得」「発見」といった用法もあります。
- んではない(んじゃない)ー (否定文)
- んですか ?ー (疑問文)
- んですが/んですけど ー (前置き)
接続 formation
V/イ形/ナ形/N(普通形) + んです/のです
※ナ形と名詞の非過去肯定:だ → な
関連文法 related grammar
例文 example sentences
A:Bさん、なんで電話にでなかったの?
Mr. B, why didn't you answer the phone?
B:スマホの充電が切れてたんです。
My phone was out of charge.
A:なんで昨日学校を休んだの?
Why did you miss school yesterday?
B:風邪を引いてしまったんです。
I caught a cold.
A:どうしたの?なんか今日元気ないね。
What's wrong? You don't seem to be in good spirits today.
B:昨日彼氏に振られたんです。
My boyfriend dumped me yesterday.
A:なんだか、嬉しそうな顔をしているね。
You look kind of happy.
B:分かりますか?さっき、私の行きたい大学から合格の連絡が来たんです。
Do you recognize it? I just received a letter of acceptance from the university I want to go to.
A:あれっ、今日はいつもより、オシャレだね。
Hey, you look more stylish than usual today.
B:昨日買い物に行って新しい服を買ったんです。
I went shopping yesterday and bought some new clothes.
・今度の日曜一緒に映画でも行きませんか? チケットを2枚友達からもらったんです。
Would you like to go to a movie with me this Sunday? I got two tickets from a friend.
・山田君も一緒に手伝ってくれない? この仕事、時間内に終わりそうにないんです。
Yamada, will you help me with this? I can't seem to finish this job in time.
(状況):ケーキを相手に見せて
・これ、私が自分で作ったんです。
I made this myself.
(状況):新しく買った鞄を友達に見せて
・これ、昨日買ったんです。
I bought this yesterday.
備考 notes
注1 :質問の形は、「なんで、なぜ、どうして」などの理由を問う疑問詞に限りません。
・さっき、いなかったけど。何をしてたの?
You weren't here earlier. What were you doing?"
ー あぁ、ちょっとトイレに行ってたんです。
Oh, I was just in the bathroom for a minute.
注2 :「んです」は、「~」ということを強く相手に認識させるために(聞き手の足りていない認識を十分なものにするために)も使われ、このような使いかたは強調と言うこともできます。注意が必要なのは、話し手が強く思ったから使われるわけではないということです。
・今から出かけるの?大雪が降ってるんですよ。
Are you going out now? It's snowing heavily.
・あなたに誰にも負けない才能があるんです。自分を信じない。
You have a talent that no one else has. Believe in yourself.
・なんと、この洗濯機、従来の洗濯機の半分の水で洗濯できちゃうんです。
Amazingly, this washing machine can wash clothes with half the water of a conventional washing machine.
■ 気を付けるべき点
その文の後に聞き手に依頼する内容が来る場合は、非難的な言い方になってしまうことがあるので注意が必要です。
・勉強してるんです。静かにしてもらえませんか?
I'm studying. Could you please be quiet?
・急いでるんです。後にしてもらえませんか?
I'm in a hurry. Can we do this later?
参考文献 references
野田(1997)『「の(だ)」の機能』
石黒 圭(2003)『「のだ」の中核的機能と派生的機能』
今村 和宏(2007)『「のだ」の発話態度の本質を探る―「語りかけ度」と「語りかけタイプ」―』
藤城浩子(2010)『ノダの提示方法に関する一案 ―メタファーを用いた意味・機能提示』
庵功雄(2013)『「のだ」の教え方に関する一試案』
鹿浦佳子, 小村親英(2015)『効果的な「んです」教授法の一試案』
君村千尋(2017)『日本語学習者の「のだ」文について―中国語母語話者の「のだ」の解釈を中心に―』
范,碧琳(2016)『文末の「のだ」の意味に関する認知言語学的・語用論的研究 : 文末の「ものだ」との対照を中心に』

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