文法-意味 grammar meaning
~ごとき/~ごとく
【例文】
①軽視
お前ごときに、アドバイスされる筋合いはないんだけど。
I don't need advice from you.
②比喩・例示
息子には大地にしっかりと根を張る麦のごとく強くなってほしい。
I want my son to be as strong as the wheat that firmly takes root in the earth.
【意味】
①~なんか(軽視)
②~ように(比喩・例示)
【用法】
①「N+ごとき」の形で、「N」が取るにたらない人や物事だと思っているという話し手の気持ちを示す。
②「~ごとく」は「~ように」と同じように、「~」が比喩や例示であることを示す。
【英語】
① "N + gotoiki" indicates the speaker's feeling that "N" is an insignificant person or thing.
② "~ gotoku" indicates that "~" is a metaphor or example, same as "~ as if".
【文法解説】Grammar point 1:
用法①:軽視
「N+ごとき」の形で、「Nが大したことではないと思っている」という話し手の態度を表します。「N」には人物が来る場合が多いが、例文2のようにそれ以外の言葉にも使われます。
「N+なんか」と似ている表現ですが、「ごとき」は「なんか」に比べ強い表現で、特に人物に対して使った場合はその人物をかなり見下しているという印象を聞き手に与えます。
1. あいつごときに負ける可能性など少しもない。
There is not the slightest chance of losing to him.
2. ちょっとしたミスごときでそんなに責めるなよ。
Don't blame me so much for just a little mistake.
【文法解説】Grammar point 2:
用法②:比喩・例示
「ごとく」は「ように」と同じく、「~」が比喩や例示であることを示します。「ように」に比べると使用頻度は少なく、現代ではあまり使われなくなっている表現です。
例文4のように「かのように」と同じ意味で「かのごとく」が使われることもあります。
3. 彼らは低迷するJ-POP界に流星のごとく現れたニュースターだ。
(≒流星のように現れた)
They are new stars who have emerged like meteors in the sluggish J-pop world.
4. 何かに呪われているかのごとく彼の身に次々と災難が訪れた。
(≒何かに呪われているかのように)
As if cursed by something, one calamity after another befell him.
色々な形
「~ごとく」は副詞的に使われ、や形容詞を修飾します。後ろに名詞が来る場合は「~ごときN」の形が使われます。文末に来る場合は「~ごとし」となるが、ことわざや格言を除き現代ではほとんど使われない。
5. 彼女は鬼のごとき形相で彼をにらみつけた。
She glared at him like a demon.
6. 光陰矢のごとし。『ことわざ』
(≒時間は矢のように早く過ぎる)
Time flies like an arrow.
接続 formation
用法①
N ごとき
(素人ごとき、子供ごとき)
用法②
N + のごとく
(毎度のごとく、流星のごとく)
N(普通形) +(かの)ごとく
※非過去肯定:だ→だ /である
ナ形(普通形) +(かの)ごとく
※非過去肯定:だ →だ /である
イ形(普通形) +(かの)ごとく
V(普通形) +(かの)ごとく
関連文法 related grammar
例文 example sentences
用法①:軽視
・あいつごときにダメだしをされてしまった。
That guy, such a loser, pointed out what was wrong with my plan.
・プロの彼が、いくら強いとはいえ一般人ごときに負けるわけがない。
There was no way that he, a professional, could be defeated by an ordinary person, no matter how strong he was.
・一度の小さな失敗ごときでくよくよしてたら前に進めない。
If you dwell on one small mistake, you will never move forward.
用法②
・輝ける太陽のごとく皆を照らす存在でありたい。
I want to be like the shining sun, illuminating everyone.
・いつものごとく、彼の書いた文章には誤字脱字がたくさんあった。
As usual, there were many typos in his writing.
・毎週のごとく彼に遅刻しないようにと注意しているのに、彼は一向に改めようとしない。
I remind him almost every week not to be late, but he does not make any attempt to change it.
・あまりの臨場感に、まるで自分がその場にいるかのごとき錯覚に陥ったのだ。
The sense of presence was so real that I felt as if I was there myself.
・メディアは芸能人の不倫問題を重大事件かのごとく取り扱っている。
The media treats the issue of celebrity infidelity as if it were a major incident.
・私の母はまるでこれが今生の別れかのごとく涙を流して悲しんだ。
My mother wept and grieved as if this was our last goodbye.
・彼女はまるで何事もないかのごとく平静を装っていた。
She pretended to be calm as if nothing had happened.
備考 notes
~如し。
文の述語に言い切りの形で使われる「~如し」の形は現代ではほとんど用いられない。一部ことわざや、格言などに使われているものが残っている程度です。
・禍福は糾える縄の如し。『ことわざ』
(良い事と悪いことはより合わせた糸のように交互にやってくる)
Fortune and misfortune are like a twisted rope.
・動かざること山の如し。『孫子』
Not moving like a mountain.
・ただ春の夜の夢の如し。『平家物語』
Just like a dream on a spring night.